特開2045-34987 物語5 価値と位置

ユイは控え室で契約書にサインした。

それは一番最初の女優のユリのものと内容は変わらないが金額の欄は史上最高額であり、マスコミも市場でのユイを報道するだろう。

「すごいわねぇ。2年で。私なんか一生働いても無理。」

先ほどの事務官の女が目を見張り、その金額を何度も確かめる。

人の良さそうな事務官は、その後付け加えた。

「でも、大変よ。」

そうだろう、それでは言葉が足らないほど大変であろう。

2億1千万円の小切手がデスクに届いた。

初めてユイを「買った」男の名を知る。

ユイは何度か反芻し、記憶に留めようとした。

「では、最終確認です。この小切手は既に現金化できる事が、当局により確認できています。従って、あなたの最終意志表明としての契約書へのサインで、当局が法により、その金額を保管し、いつでも開示できるようになっています。ただし、あなたの場合、2年後よりとなりますが。確認方法はこの契約書とあなたのお臍の下の印です。おなたご自身がどこの役所に何も持たず来て頂いて結構です。方法は申しませんが、あなたが来れた時点で当局は確認が取れます。」

「続けます。お金の確認はそれでOKですが、お金の引渡しは基本的に40歳を迎える1ヶ月前までできません。ただし、ご本人の事情で「当局が認めた際」、「預かり金」・・・と呼びます。の30%までは2年後以後、何時でも払い出し可能です。えーと、6千万以上ですね。後はサインです。もう一点ありますので、それはサイン後に。」

ユイは契約書をまた見た。驚くべき金額である。2億に変わる、2年とは何か。

(確信したんじゃない。命も差し上げますとも誓った・・・。)

3枚の契約書にサインは成された。

「はい。契約成立です。1枚は当局、後1枚ずつは契約者それぞれに。最後の1点について。この契約はお解かりの通り、かなり危険なものです。3日間、自宅あるいはこちらから連絡の取れる場所であなたは考える時間を持てます。」

ユイはそのまま病院に戻った。

もう、施設に戻って、「恋人」には会いたくはない。マスコミもいるかもしれない。

その点、病院は静かに自分の気持ちを再確認できる場所である。

契約完了のものには個室も与えられ、費用は必要ない。

(お金は得たわ。あの女優さんより、私は高い。つまり価値がある。男性には好ましい・・・。私はいつも待っていた。私を必要とする男(ひと)を。私を女として扱ってくれる方。お金で買われた娼婦。もっとよね・・・奴隷。・・・私は待っていた。たぶん、私の細胞は施設のショーなんかでは満足できない「女」(マゾヒスト)から引き継がれたもの。私は全てを受け入れられる人(女)の分身。そして、私の価値はこの国で一番。・・・日本一の女奴隷。)

ユイは22歳。まだ、その命は80年も続く。

ただし、女であることは後20年。クローンの定めである。

幾人も見てきた。35を超えると女であることを捨ててしまうクローン。

(子供が欲しい。)

ユイの誰にも言ったことのない希求。

そのこと自体、他のクローンの誰からも聞いたことがない。

(もしかしたら、叶うかも。・・・愛されたら、従順なら、牝奴隷のように全てを受け入れたら・・・、あの方は罪を一緒に背負って下さるかも。)

3日目の朝、役所の車が午前9時に病院に横付けされた。

今日は男と先日の女の事務官である。

病院の応接室にユイと病院の副院長の「4人」がいた。

「すごい反響ですね。」ユイに向けられた言葉だが、小首をかしげるしかユイはできない。

「意味がわかりませんか。さすが、病院ですね。情報管理はしっかりしています。」

顔を向けられた副院長は当然だ、とも言いたそうに頭を振った。

「ユイさん、最高の金額だったのですよ。あなたの写真はもう引っ切り無しで印刷され、日本中に飛び回っています。ご存知ないでしょうが、その写真の印刷量が金額になります。えーと、400万部ですね。あなたは400万円を別に手に入れました。当然、それは当局が大切に保管致します。まだ、増えるでしょうね。1000万位にはなるでしょう。他の方は1万以下が平均ですからずば抜けています。あなたが気にした女優さんは500万ですから、確実に上回ります。 」

「そうですか。私の写真が・・・。」

ユイは少し暗い顔になる。

「そうですね。このお話は色々とデリケートな問題を含みます。でも、これは2年後ではなく、いつでもあなたが求めれば、使えるお金であることを伝えるのはこちらの義務・業務でして勘弁下さい。」

慇懃な男性役人が詫びる。

見知った女の事務官が話始めた。

「ユイさん。お気持ちに変わりはありませんね。これは口頭のみです。」

「ハイ。」

間髪を入れず答える。

「では、参りましょうか。」

「・・・ハイ。」

ユイを載せた車は役所管轄の小奇麗な住宅街に入り、庭を持たない4階建ての住宅に止まった。

「はい、着きました。」

ユイはその住宅を眺める。

庭はないが、住宅としての落ち着きがある佇まいで、その理由を求めると水の音が聞こえてくる。だが、川のようなものは見えなかった。

「水の音?ここは地下が川なの。潮が満ちると海とも言えるかしら。ほら、あの山の向こうは太平洋よ。」

ユイの質問に答える様に女事務官が言った。

「さて、ユイさん、契約書通り、1ヶ月で業務放棄は契約は無効となり、ピアス代のみの支払いです。これは皆さん平等。あなたの場合、それを1日でも越えれば、1千万+約30万×日となります・・・か。頑張って下さい。では、お一人でどうぞ。あぁ、最初はご主人様とお呼びになってね。それが自然ですから。」

「はい、色々ありがとうございます。」

「お元気で。」

ユイが頭を腹に付くほど下げる中、車は去っていった。

玄関は目の前にある。そこから先はまったく未知の領域。

今日の夜、ユイは男に抱かれるだろうか。それとも、この家に入ったすぐ後・・・。それは確かな現実である。

ユイは買われたのだ。

しかも2年間。タバコが好きらしい男は2億以上の支払いを行っている。何が起こっても不思議ではない。 

心の準備のため街の風景にユイは目を向けていた。

人通りは少ないが、明らかにクローンと思われる、目鼻立ちの整った女性が目立つ。

この住宅街にそのような施設があるとは思えないが、そうすればこの住宅街のどこかの家に「身を売った女」なのだろうか。

なら、好ましい。一定の自由が与えられていることになる。

(でも、私はそれを望むの?いつも、ご主人様に・・・可愛がって頂きたい。)

ユイは最後の思考でTVインターホーンのボタンを押した。

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